わずか2時間のトークのうち、前半は、各項目についての回答をざっとして頂きました。
その中でもすでに、あまりにも日本とは違った状況
つまり、ダンサーがカンパニーから支払われる給料や国からの失業保険だけで暮らしていけること、振付家も同様に経済的にも条件的にも守られた環境の中でクリエイションしていけること
といったベルギーの状況を理解するまでに、時間がかかったように思いました。
そういう国も存在するということを知る、まずはそこから何かが始まればいいなあと思います。
さて、後半は、日玉氏個人が今現在興味を持っていることや今後の活動、そして、日本の状況に関わるQ&Aなど、非常に示唆に富んだ会話がなされました。日玉氏ならびに会場の皆さんの洞察力の鋭さ、理解力の深さが心地良い刺激となりました。
なお、以下の記録についての許可なき無断転載は固くお断り申し上げます。
******************後半の記録*********
4: individual future 今後の活動、将来プラン、目標-10.日玉浩史ダンス活動の今後の予定など現在は、ソロの作品を作る過程。身体の動きだけでいろいろなことができるということの再確認をしている。身体と言う言葉,文字にはそれだけで状態を表せる(漢字を書く)。アナロジーということに興味がある。認識論とか。
バーバラ・スタフォード著書「ビジュアルアナロジー」では、フォーサイスも傾倒したミッシェル・フーコーの「個に向かう均等でない平等」への疑問を提示している。例えば、現代では、ひとりひとりがバラバラであるが皆がipod持っているというような画一化が進んでるように見受けられる。スタフォードは個と類似の発見に注目し、それをもとにしたアナロジーを提案している。少し魔術的なことにも及ぶ。
びわ湖ホールが財政難という話を耳にしたが、そもそも琵琶湖にホールは必要なのか?劇場予算は日本では赤字にならざるを得ないであろう。考え方によっては、劇場でなくてもパフォーマンスはできるのではないか。
日本の過去をさかのぼれば舞踏の土方巽(ひじかたたつみ)がやってきたことがある。
今回の帰国では舞踏の田中泯(たなかみん)が農業を営みながら創作活動をしている。農業という枠ができる。枠がはっきりすることで実は自由になれることもある。
また、沖縄には、「ゆいまーる」という共同作業の持ち回り習慣がある。こういった風習を自分たちのコミュニティにも生かせる方法があるのではないか?
コミュニティというのは小さな社会の単位。それをどこまで動かせるのか、ということ。
日本の出版業界の友人との話しにも出て来たが、出版業界でも目指す場所がどこだか迷っている。どうしても、目指す先は売り上げ数に向かわざるを得ない。彼らの中でも、自分たちのテリトリーが見えなくなっているということを今回発見した。
今の時代は「高速大容量」を常時求めている。コンピューターやipodなど、「とりあえず使うかもしれない」可能性を保持するという姿勢である。そのため、自分のやりたいことが見えにくくなっていると思う。
田中泯の農業という作業的な縛りのように、枠をハッキリさせること。例えば、ただ「自由に踊って下さい」と言われてもなかなか踊れないが、「三拍子で踊れ」と言われたらその人それぞれの個性でもって踊る事ができる。
日本の職人技に代表されるゆっくりさ、アナロジー、ということにも惹かれる。日本も捨てたもんではない。
ただ、惜しい事に、昔ながらの道具造りを代表する職人の技術は危機に瀕している。
Q:日本でも古典芸能などでは良い批評家がいて、若手を育てたりしているが、海外の批評家はどうですか?
A:批評家に至るまでには、大学でカルチュアルスタディーといわれる分野を学ぶ。劇場の歴史、形態なども含めて勉強した上で書く。個人的にはダメと思う人もいるが、大旨きちんとした良い批評家が多い。
また、批評の出るタイミングも、必ず公演の初日の翌日に新聞に載るので、それが良ければ観客も増える。批評のシステムが社会の中で機能している。
Q:ふつうの人が手に取ってみれるところに載るという事ですか?
A:普通の新聞に出ます。日本の批評は公演が終わった数週間後だったりすると聞いたが、それは勿体ないのではないか?
Q:海外で劇場に足を運ぶということは特別な事ではないのか? 日本ではまだまだ少数に過ぎないが。
A:日本よりは劇場に足を運ぶ観客数は多いと思う。
ブリュッセルでは公演は大抵夜の8時から8時半に始まる。普通の仕事が終わってご飯を食べてから出かけることができる。終演後も劇場のバーが開いていて、そこでゆっくりと観客とコミュニケイションを取る事ができる仕組みになっているというもの大きい。
日本にはモノはたくさんある。システム的なものもすでにある。空き家や市の所有物など探せば、場所もあるかもしれない。
それらが本来の目的としてうまく機能されていない部分に働きかけ、相乗効果的にうまく機能するよう、改良できる余地があるのではないか?
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そして、この後、皆で後片付けをし、15名ほどが2次会へ。
ノマドの熊谷さんが予約してくださった居酒屋の大きなテーブルを全員で囲んで、さらに熱心なトークが続きました。
いろんな意味で、実り深く豊かな会話が成された夜でした。
時は新月。
人や状況の本質的な部分とか、これからの課題とか
いろいろなものが浮き彫りにされたように見えました。
具体的な着地点はわざと設けませんでした。
まずは、異国の常識を、知る。世界の中の日本の状況を知る。
その先、どういう活動をそれぞれがしていくか、といったことは
わずか数時間の対話では見つかる類いのものではありませんから。
ゆっくり持ち帰って、じっくり考え始めれば、いいのだと思います。
自分の持ち場へ帰ってそれぞれがやってもいいですし、
ここで出会った人達が個人的に、改めて時間を設けて
そこここで会話を続けていってもいいと思います。
その種まきこそが、この会の狙いなのですから。
とにもかくにも、第1回が無事盛会に終わりました事、
皆様に心より御礼申し上げます。
本当にどうもありがとうございました。
テーマ:ダンス - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2008/06/08(日) 22:21:26|
- 海外在住アーティストの話を聞く会
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| コメント:4
トークの会は行きたいと思いつつも都合がつかず断念していました。
こうやって内容を知る事が出来てとても有り難いです。
本当にこういった企画は種まきのようなもので、結果が形として花開くには
時間がかかるのかもしれませんね。
でも、例えばJOUさんがこういった企画を立ち上げ、協力者がいて、
それを若い人たちが聞く、参加する、というこの流れはとても有意義な
事だと思います。まさにASKでの種まきが今こういう形で開花しているとも
言えると思います。
JOUさんブログもいつも楽しみにしています。
これからもぜひ発信し続けてください!
- URL |
- 2008/06/08(日) 23:04:09 |
- 美和子 #-
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早速拝見させていただきました。
あーおもしろい。大切な活動をされているんですね。
私はイギリスでトレーニングをし、そのままその国でダンサーとして生活を始めた人間で、
おそらく日本のコンテンポラリーダンスの現状を2,3割ぐらいのことしか把握できていないのだろうと思います。でもいつも外から日本の収拾のついていない小さな面白みのあるクリエイティビティにどうしたら理にかなった社会からのリアクションがもらえるのかなーとずっと考えていました。イギリスもまだまだほとんどのダンサーは貧乏ですが(笑)、ダンスがアートのなかの一部でありアートが社会の中での大事な一部であることは感じられます。
彩子さんからもきっと色々聞いていると思うけれどとりあえず、こっちでのProfessional dance Divelopmentの冊子など参考になりそうなものもって帰りますね。会えるの楽しみにしていまーす。
- URL |
- 2008/06/30(月) 05:17:19 |
- Ayakoba #2xjMuIrU
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